<東京オリンピック(五輪):バドミントン>◇28日◇男子シングルス1次リーグ◇武蔵野の森総合スポーツプラザ
金メダル大本命の呼び声が高かった、世界ランキング1位の桃田賢斗(26=NTT東日本)が、負けた。許■(■は人ベンに光)熙(韓国)に0-2で敗れ、男子シングルス1次リーグで1勝1敗の2位。決勝トーナメント進出を逃した。違法カジノ店で賭博行為を行っていたことが判明し、16年リオデジャネイロ五輪は出場できなかった。20年1月にはマレーシアで交通事故に遭いながら、ようやく初出場した五輪だったが、メダルなしで終わった。混合ダブルス準々決勝は、渡辺勇大、東野有紗(ともに24=日本ユニシス)組が、日本勢初の4強入りを決めた。
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ネットを越えられず、自陣に落ちるシャトルを見届け、桃田は崩れ落ちた。右膝をついた体勢のまま、しばらく動けなくなった。夢見た舞台、しかも地元開催の五輪は、メダルなしで終わった。「最後まで苦しい展開だった。悔いはないかと言われたら、そうではないけど。このコートに立つまでにいろんな人に支えてもらった。苦しかったが、やりきったかなと思う」。世界38位の許にストレート負けし、悔いはある。それでも必死に前を向いた。
第1ゲーム前半は、10-5とリードした。だが許の鋭いスマッシュに全く反応できない場面が目立ち、10連続失点で流れを失った。「試合の入りは良かった。途中から自分の気持ちが引いてしまった。自信を持ってプレーできなかった」。15-21で失うと、第2ゲームも11-8から6連続失点で逆転された。再逆転して終盤を迎えたが、表情は硬いまま。自信のなさから、動きも硬くなり、負けた。
昨年1月にマレーシアで交通事故に遭い、右目の眼窩(がんか)底骨折の手術を受ける大けがを負った。その後の国際大会は、今年3月に準々決勝で敗れた全英オープンに続き、五輪が2大会目。日本代表の中西コーチも「受け身のプレーヤーだから、そういう意味では球を見ていた方が単純にいい」と、復帰後の国際大会の経験不足を懸念。不安がそのまま結果に出た。
16年4月に、違法カジノ店で賭博行為を行っていたことが判明し、同年のリオ五輪は出場できなかった。そして五輪はまたも、桃田にほほ笑まなかった。連続失点の場面は「どうしていいか分からなかった」とリオ五輪を棒に振り、今大会が初出場という五輪での経験不足が土壇場で響いた。五輪まで実戦から離れた影響は「それはみんな同じ条件なので、そこは言い訳にはできない」と断言した。無念の表情の裏に、3年後の雪辱をにじませていた。
◆桃田の苦難の道のり 16年4月に違法カジノに出入りしていたことが発覚し、無期限出場停止処分となり、同年のリオ五輪は出場できず。19年にワールドツアーで年間11勝し、20年東京五輪の大本命に。20年1月13日、遠征先のマレーシアで追突事故に巻き込まれる。運転手は死亡。桃田は顎、眉間、唇裂傷、全身打撲で病院で手当てを受け、現地の病院に入院した。同年2月、練習で「シャトルが二重に見える」と訴える。「眼窩(がんか)底骨折」と診断、手術を受けた。コロナ禍で五輪が1年延期。感染拡大が収まらず大会の中止論も高まる中、無観客で開催。まさかの1次リーグ敗退となった。
◆桃田賢斗(ももた・けんと) 1994年(平6)9月1日、香川県三豊市生まれ。小学2年からバドミントンを始める。福島・富岡高3年の12年世界ジュニア選手権で日本人初の優勝。15年世界選手権3位。同年ファイナル優勝。18、19年世界選手権優勝。19年ワールドツアーで年間11勝を挙げた。175センチ、68キロ。所属するNTT東日本とはプロ契約。
苦難越え初五輪の桃田賢斗敗退「悔いはないかと言われたら、そうではない」 - ニッカンスポーツ
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