12月2日から4日間の日程で開催される「ゴルフ日本シリーズJTカップ」。プロゴルファー・中村修が注目するのは、逆転で賞金王を狙う木下稜介。稲見萌寧を賞金女王に導いた奥嶋誠昭コーチに師事するスウィングを解説。
国内男子ツアーもいよいよ最終戦です。20年の6試合と21年に開催される24試合が統合され現在の賞金ランキングは1位にチャン・キム、約1300万円差の2位に木下稜介選手がつけています。
木下選手は、昨年の「三井住友VISAマスターズ」と今年の「東建ホームメイトカップ」で惜しくも優勝を逃すも「日本ゴルフツアー選手権」で初優勝を挙げると「ダンロップ福島オープン」で2戦連戦優勝を飾りトッププレーヤーの仲間入りを果たします。9月の「フジサンケイクラシック」から5戦連続でトップ10フィニッシュと安定した成績を残し賞金王に向け終盤に突入しました。
2週前の「ダンロップフェニックス」でチャン・キム選手が優勝し、賞金王争いで一気にトップに立つと木下選手も2位と、差を最小限に抑え先週の「カシオワールドオープン」を迎えます。しかし木下選手は痛恨の予選落ちを喫し、差を詰めることができませんでした。木下選手の賞金王獲得には最終戦で単独2位以上が条件と、女子ツアーの稲見萌寧、古江彩佳選手の最終戦での決着と同じような展開になっています。最終戦で逆転賞金王を狙うスウィングをじっくり見てみましょう。
画像Aの左を見てみましょう。ドローヒッターの木下選手ですがドローヒッターにありがちな右肩を下げ、右からボールをのぞき込むような右に傾いた構えではなく、アドレスではごく自然でオーソドックスな構えをしています。フェースをボールに向けたままテークバックは始動し、トップではフェースが空を向き、ボールをつかまえやすい形になっています。
画像Aオーソドックスで自然な構えからフェースをボールに向けたままテークバックしフェースが空を向くシャットなトップを作る（写真は2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行）
画像Bを見るとドローヒッターらしい傾向が見て取れます。ボールよりも右側に体を残し、上半身は開かずに手元は体よりも背中側に位置しています。切り返しで体を動かす順序が正しく整っていることでインサイドからフラットな入射角でボールに向かっていることが確認できます。
右の画像では左腕とクラブが一直線になり、ボールにエネルギーをロスなく伝え、ヘッドをターゲット方向に押し込んでいくような、力強いインパクトになっています。
画像B 下半身から動き出す動き出しの順序が整っていることで、ドローヒッターらしいインサイドからフラットな入射角でインパクトは向かう（写真は2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行）
型にはめない指導法で選手に合ったスウィングを指導する、「金太郎アメにしない」という奥嶋コーチの指導のもと、体の使い方の特性から持ち球を生かし、それを磨き精度を上げることで結果を出してきた20-21シーズンだったと思います。最終戦での戦いを期待しています。
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