2021年06月23日07時13分
東京五輪会場で観客への酒類提供を容認する案が大会組織委員会内で一時浮上した。スポンサーの大手ビールメーカーに対する配慮が背景にあったとみられる。ただ、新型コロナウイルス感染拡大への懸念から「有観客」の方針に批判が残る中、酒類提供まで認めることに首相官邸や与党から反対論が噴出し、見送られる見通しとなった。
会場内は飲酒禁止 組織委、観客向けガイドライン公表―東京五輪
組織委の橋本聖子会長は21日の記者会見で、観客への酒類販売に関し、「大声の抑止、安全な誘導の実現の観点から(在り方を)検討中」と述べ、選択肢として排除していないことを明らかにした。
丸川珠代五輪担当相は22日の会見で「大会の性質上、ステークホルダー(利害関係者)の存在がどうしてもある」と語り、組織委としてはスポンサーに一定の配慮をせざるを得ないとの見解を表明。その上で「大声を出さない、拍手だけで応援するという観戦スタイルをしっかり貫く形で検討いただきたい」と求めた。
組織委などは21日、1万人を上限に収容定員の50%以内で観客を入れる方針を決めた。ただ、この決定は無観客が望ましいとするコロナ対策分科会の尾身茂会長らの提言と溝があるのは明らか。さらに感染拡大の温床と目される飲酒を認めれば、五輪に対する国民の懸念が強まりかねない。自粛を強いられる飲食店からの反発も予想される。
菅義偉首相は22日の自民党役員会で、東京五輪の観客の扱いに関して「臨機応変に柔軟に対応していきたい」と述べるにとどめた。ただ、ある官邸の高官は「酒を飲めば大声になり、感染リスクが高まる」と指摘。「五輪はお祭りではない」と組織委に異論を唱えた。
加藤勝信官房長官は22日のBS日テレの番組で「お酒は感染防止の急所だ」と述べ、酒類提供の見送りが望ましいとの考えをにじませた。
東京都議選の告示を目前に控え、与野党は敏感に反応した。自民党の二階俊博幹事長は22日の会見で「こういう事態だから、アルコール禁止ぐらいは考える必要がある」と組織委に要求。公明党の山口那津男代表も会見で「慎重に検討していただきたい」と主張した。
立憲民主党の枝野幸男代表は党会合で「開いた口がふさがらない。多くの飲食店が半年間、血のにじむ努力で協力しているのに、1万人集めた競技場で酒を出すのは信じられない」と批判。共産党の小池晃書記局長は「言語道断。五輪と名が付けば何をやってもいいのか」と訴えた。
五輪会場で酒類提供見送り 組織委容認も官邸・与党反対 - 時事通信ニュース
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