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Friday, June 4, 2021

専門家「“ストレスならやめればいい”と言う精神科医も」 大坂なおみの告白から考える“アスリートとメンタルケア”の現状(間淳) - Number Web - ナンバー

 世界4大大会「全仏オープン」で記者会見拒否。さらに、“うつ症状”の告白。大坂なおみに何があったのか、その驚きはテニス界や日本国内にとどまらず、世界に広がっている。

 ただ、強靭な精神力を持っているイメージがあるトップアスリートが、うつ病に悩むことは珍しくないという。日本スポーツ精神医学会理事長で、精神科・心療内科「すなおクリニック」の内田直院長に話を聞いた。

「メンタルは強い」は競技においてだけ

――女子テニスの大坂なおみ選手が全仏オープンで試合後の会見を拒否し、その後うつ病に苦しんでいると明かしました。長年、精神科医として世界レベルを含むアスリートのメンタルケアをしてきた立場から、このニュースをどのように感じましたか?

「トップアスリートには身体的な能力の高さに加えて、厳しい練習に耐え、試合中のプレッシャーに打ち勝つ精神的な強さが必要です。トップアスリートのメンタルは強いというのは、ある意味では正しいが、それは競技においてだけです。それ以外の面では、競技と同じような精神的強さがあるとは限らない。大坂選手のようなことは誰にでも起こりえます」

――うつ病になるアスリートならではの理由や特徴はないのでしょうか?

「精神的なバランスを崩しても精神科に行くまでもないと思っている一般の人は少なくないと思いますが、アスリートの特異性の1つは、その気持ちがより強いことです。メンタルが弱いと、強いアスリートではないという考えがある。その誤った考えの結果、早く治療をすれば早く良くなって復帰できるにもかかわらず、治療をしないで悪化してしまうケースがあります。けがと同じように考えて、早く治療することが大事です」

「ストレスならやめればいい」という精神科医も

――他にも、アスリートの特異性はありますか?

【次ページ】 脳の神経システムの関連性は有力とされている

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