2021年のF1ベルギーGPは、悪天候によりスタートディレイが繰り返され、予定よりも3時間以上遅れてセーフティカー先導でスタートが切られたものの、3周目走行中に赤旗中断。そのままレース終了ということになった。
ただレースの最終結果は、1周目終了時点の順位が採用された。F1のレースが成立するためには2周以上を走り切る必要があるが、1周目の結果が最終結果となってしまったということは、レースが成立していないのではないか……そんな疑問も生じる。
レース距離が何らかの理由で短縮された場合のポイントシステムは、F1のスポーティングレギュレーションで規定されており、ドライバーにポイントが付与されるために走り切らねばならない距離も正確に規定されている。
同レギュレーションの第6.5条には、次のように記されている。
『スプリント予選セッションもしくは決勝レースが本規則第50条により中断され、再スタートができなかった場合、先頭車両が2周回あるいはそれ未満しか満たしていない場合はポイントが与えられず、先頭車両が2周回以上走行したがスプリント予選セッションもしくはレースの当初予定距離の75%を走破していない場合にはハーフポイントが与えられ、先頭車両がスプリント予選セッションもしくはレースの当初予定距離の75%以上を走破した場合はフルポイントが与えられる』
今回のレースでは、F1マシンはセーフティカー先導のまま2周を走り切り、3周目を走行中に赤旗が掲示された。ただこの事態をレギュレーションと照らし合わせると、レースの最終結果は、ハーフポイントを獲得できる2周を走破していないという表示になる。
スポーティングレギュレーションの第51.14条では、以下のように規定されている。
『スプリント予選セッションまたはレースが再開できなかった場合は、スプリント予選セッションまたはレース中断の合図が出された周回の2つ前の周回が終了した時点の結果が採用される』
簡単に言えば、今回の場合は3周目走行中に赤旗中断となったため、1周目が終了した時点の順位が最終結果ということになるわけだ。
しかしこれでは、前述の”2周回以上走行”というハーフポイントを付与する基準を満たしていないと解釈することもできる。ただスポーティングレギュレーション第6.5条は、レースの最終結果がいつと宣言されるのかは関係なく、先頭車両が2周を走り切ったかどうかだけが判断される。
先頭のフェルスタッペンは、セーフティカー先導の状態で、コントロールラインを確かに3回通過している。2回は”レーシング”ラップであり、3回目は赤旗が掲出されピットレーンに進入しながら通過している。
FIAのF1レーシングディレクターであるマイケル・マシは、レッドフラッグに関するレギュレーションと、ポイント付与に関するレギュレーションは関連していないと明らかにした。
「3周が完了している」
そうマシは語った。
「3周目は、マシンがピットレーンのファストレーンを走行しながらコントロールラインを通過している」
「そしてポイントに関しては、レッドフラッグが掲示されたラップの2周前の順位で判定される。従って事実、ふたつの視点があるのだ」
「ひとつはレースが完了したかどうかを判断するために行なわれることだ。そしてもうひとつは、チャンピオンシップポイントに基づいて行なわれることだ」
レース後に発表された公式結果にも、以下のような注釈が入れられている。
「最終結果は、FIA F1スポーティングレギュレーションの第51.14条に従って計算されている。つまり1周目は、レース中断の合図が出された周回の2周前ということになる。ただしポイントの決定には第6.5条が適用される。先頭車両はコントロールラインを3回通過している。ハーフポイントを獲得するためには、先頭車両は2周以上を走破している必要がある」
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