◆第26回秋華賞・G1(10月17日・芝2000メートル・阪神競馬場、良)
第26回秋華賞が17日、阪神競馬場で行われ、4番人気のアカイトリノムスメ(戸崎)がゴール前で差し切り、桜花賞4着、オークス2着と敗れた牝馬3冠の最終戦でG1初制覇を飾った。国枝栄調教師(66)=美浦=は、管理したアパパネとの母子制覇で、3冠牝馬の子のG1勝利は史上初。断然の1番人気に支持された白毛の桜花賞馬ソダシは直線で伸びを欠き、10着に沈んだ。
偉大な血が背中を押した。戸崎が右前方にいる同じ勝負服のソダシを見ながら、好位直後のアカイトリノムスメにGOサインを出したのは4コーナー。両腕で気持ちを乗せるように手綱を押し、左ステッキで闘争本能を呼び起こした。直線半ばで白い馬体をあっさりかわすと、追えば追うほど力強さが増していく。最後まで力感あふれるフットワークでファインルージュの猛追を封じ、先頭でゴールに飛び込んだ。
「最後の1冠でこの馬に乗せてもらってうれしかったし、勝つことができてよかったです」とホッとした表情の戸崎を、満面の笑みで出迎えたのが国枝調教師だ。自身が手がけた3冠牝馬アパパネを母に持つディープインパクト産駒は、両親でG1計12勝の超良血馬。「アパパネに、その上(母)のソルティビッドと3代続けてやらせてもらって、頑張ってくれた。うれしいです」。3冠牝馬の子によるG1制覇は日本競馬史上初。自身の紡いだ血脈で偉業を成し遂げた。
貴重な経験も生きた。今回はオークス以来、ぶっつけでの勝利。当初は紫苑Sを使うプランもあったが、もう一段階上の成長が欲しい国枝調教師の脳裏をよぎったのは、あの馬だった。「アーモンドアイもいけましたし、何とかなるのかなと思いました」。18年に同じローテで牝馬3冠を決め、史上最多G1・9勝の名牝の道をたどらせた直行という選択。厩舎にとって、そのアーモンドアイの引退レースだった昨年のジャパンC以来となるG1勝利だった。
今後はエリザベス女王杯(11月14日、阪神)か、ジャパンC(同28日、東京)への参戦が濃厚だ。「一気に成長するというより、ジワジワと成長してくれています。今後が楽しみです」と戸崎は笑みを浮かべる。アパパネとはハワイに生息する赤い鳥。その娘は世代の枠を超え、さらに上のステージへ羽ばたいていく。(山本 武志)
<金子オーナー「国枝先生がしっかり仕上げてくれました」>
○…アカイトリノムスメでアパパネとの母子制覇の金子真人オーナーだが、圧倒的人気のソダシがまさかの大敗。「あそこで止まるとは…。予定は違ったけど、あの子(アカイトリノムスメ)はあの子で(勝てる力は)あると思っていました」と複雑な表情だった。それでも父ディープインパクト、母、母の父キングカメハメハと金子ブランドの結晶で勝利。「国枝先生がしっかり仕上げてくれました。先週、(京都大賞典で)マカヒキも復活してくれたので良かったです」と2週連続の喜びに浸った。
◆アカイトリノムスメ 父ディープインパクト、母アパパネ(父キングカメハメハ)。美浦・国枝栄厩舎所属の牝3歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算7戦4勝。総収得賞金は2億2268万円。主な勝ち鞍はクイーンC・G3(21年)。馬主は金子真人ホールディングス(株)。
【秋華賞】アカイトリノムスメ、アパパネに続く母子制覇! 3冠牝馬の子のG1勝利は史上初 - スポーツ報知
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