赤間凛音(りず)が決勝で18・94点を出し、初優勝を飾った。安定感のある滑りで5点台を複数回マーク。1本の技で競う「ベストトリック」では5・97点の高得点を出すなど、東京オリンピック(五輪)金メダリストの西矢椛(もみじ、14=ムラサキスポーツ)らに競り勝った。西矢は1歩及ばず17・23点で2位。3位には15・87点を出した伊藤美優(14)が続いた。

強者(つわもの)ひしめく国内ストリート女子に、長髪をなびかせる12歳の新鋭が名乗りを上げた。赤間は「1位になれるように頑張って練習してきたので、本当にうれしかった」。同世代のライバル西矢らを抑えての優勝にうれしさがこみ上げた。

準決勝を18・50点とトップ通過。決勝では1回の技で競う「ベストトリック」の3本目を終え、西矢に次ぐ2位。4本目で中央の手すりから攻め、果敢に「バーレー・グラインド」を成功させた。女子選手の中で高難度とされる大技を難なくこなし、この日最高の5・97点。西矢を離し、そのまま逃げ切った。

サーフィンをしていた父の影響で小学校2年生でスケートボードと出会った。家族に支えられながら競技に打ち込み「平日は学校が終わると、パークで9時くらいまで練習します」。19年日本選手権では2位に輝くなど実力を付けた。

日本代表のコーチを務める早川大輔さんも「(赤間は)トリックチョイスが他の子たちとは違い、スタイルにはオリジナルティーがある」と評する。ただ、以前はトリックの安定感に課題があったというが、この日見た演技について「全ての技の成功率が高くなっている」と目を見張る。国際舞台で実績を残す西村、五輪金メダルの西矢、銅メダルの中山と強豪がそろう種目の中で「女子ストリート界を面白くしてくれる存在」と期待を寄せる。

原動力にあるのは、今夏の東京五輪の舞台に立てなかった悔しさだ。「(西矢)椛が1位、(中山)楓奈が3位になったときはもうれしかったけど、悔しさの方があった」と語り、「年齢が近いから、負けないようにと思っている」と対抗心を燃やす。

中学1年生ながら、既に3年後の24年パリ五輪を視界に捉える。その舞台に立ちたいと意欲をのぞかせ「世界の人にもっと上手い人がいっぱいいるから、もっと練習を頑張ってパリオリンピックに出れるように頑張りたい」と力を込めた。

◆赤間凛音(あかま・りず)2009年1月8日、宮城・仙台市生まれ。サーフィンンをしていた父の影響で小学2年生の時にスケートボードと出会う。平日は県内のスケートパークで滑り、週末には家族と一緒に新潟・村上市内のパークまで遠征するのが日課。競技中の服装へのこだわりが強く「他の人と違って派手な服を着たい」。